熱海の地域創生にシェアエコをフル活用!「シェア広場」の企画が画期的

シェアエコで地域創生

シェアリングエコノミー研究家のこういちです。

昨日、熱海でシェアリングエコノミーを活用した新しい街作りに関するセミナーに参加してきました。

シェアリングエコノミー協会の方が個人プロジェクトとして、シェアエコをまさにフル活用して地域活性化に役立てる良い企画を現在進行形で進めていましたので紹介いたします。

今回、「熱海リノベーションまちづくり」という地域創生の企画に、シェアリングエコノミー協会の方が個人的に参加する形で立ち上げたプロジェクトの話になります。

熱海が抱える課題点と必要な対応策

「熱海リノベーションまちづくり」という行政の企画

熱海は20代〜30代の大幅な減少という大きな都市課題を持ちます。そして、高齢化率、出生率、未婚率などが静岡県内でワースト1位、2位を争うような、課題先進地域です。こうした都市課題を解決していくためには、若い世代にとってチャレンジができ、そして住みやすい環境をつくっていくことこそが必要です。特に30代前後の世代は子育てや、親の介護などにも関わり始める世代です。この30代前後の世代にとって暮らしやすい環境をつくることこそそが、子どもから高齢者まで誰にとっても住みやすいまちをつくることにつながります。
(中略)
熱海の20代〜30代 の減少の最も大きな原因は、熱海の住環境にあります。リーズナブルで住みたいと思う家がないということです。熱海に仕事はあるのに、熱海に住んでいないという人が多くいます。住みたい家、住みたいコミュニティをつくっていくことこそが、このまちの課題を解決するための最も重要な解決策です。

だからこそ、私たちは、熱海のまちなかを若い世代が暮らし、仕事ができ、そして遊べるまちへと変えていきたいと考えています。このまちにとって必要なクリエイティブな30代(20代後半から40代前半世代)をこのまちに呼び こんでいきます。そして20代前半世代がそんな30代が暮らすまちに修行に、チャレンジしに来るまちにしていきたい。そのために必要な事業、プロジェクトを推進していきます。
引用元:熱海リノベーションまちづくりとは?

熱海の課題点まとめ

・高齢化率、出生率、未婚率などが静岡県内でワースト1位、2位を争う状況
・住みたい家、入りたいコミュニティがない

解決策について

・30代前後の世代にとって暮らしやすい環境を作ることが、結果的に子供から高齢者まで住みやすい街になる
・クリエイティブな30代(20代後半から40代前半世代)をこの街に呼び込む施策が必要

シェアエコ協会の方が熱海を個人的に選んだ理由

家族で地方暮らしを検討した時に、調べれば調べるほど「都会から田舎にきた人が都会に戻っていくパターン」が多いことを知ったそうです。田舎側に都会の人を受け入れる土壌がないことも多く、「田舎暮らしで幸せになるイメージ」が持てなかったとのこと。

その結果、どこに住むかよりも、そこにあるコミュニティが好きかどうかで決めるべきと考えたそうで、ご縁のあった「熱海リノベーションまちづくり」などのイベントがある熱海を選んだそうです。

駐車場が公園に?海から1分、熱海にグランピングカーが集う多世代シェア広場をつくる


熱海市から市営駐車場借り、都心から二地域居住をしたいキャンピングカー・トレーラーハウスオーナーたちが集まる前代未聞のシェアスペースをつくります。駐車場はリノベーションし、子供から年配者まで地域に開き、旅行者も車中泊で滞在可能。企業の福利厚生や合宿、コワーキングスペースとしても使えます。緑の少ない沿岸部に誕生するその空間のコンセプトは森。全面に芝生と木を植えます。都心から40分程度で来れる新しい熱海を一緒につくりませんか?
引用:駐車場が公園に?海から1分、熱海にグランピングカーが集う多世代シェア広場をつくる by Makuake

この企画に使われている5種類のシェアリングエコノミー

「赤字だけど余剰資産が活用できて良かったね」とはならないように、シェアエコをフル活用して無駄なく収益が上がるように設計されています。

①駐車場の余剰スペース活用

全国に有り余った駐車場の余剰スペースを人が集まるコミュニティにしようと考える企画。これが成功すれば、全国にあり余った駐車場スペース活用の成功事例になる。

②グランピングカーを使用した2拠点生活で、使わない時はAirbnbで宿として貸し出し

グランピングカーを使用した都市と地方の2拠点生活の実現を支援しつつ、グランピングカーを使わない時はAirbnbで宿として貸し出しできるという優れもの。

③グランピングカーに宿の予約もない時はレンタカーとしても貸し出し

さらに宿の予約がない時は、レンタカーへの貸し出しも可能に。

➃広場のイベント予約などはスペースマーケットや軒先を活用

シェア広場の魅力を上げる為に、スペースマーケットや軒先などで、イベントを実施してくれる人を募集。

⑤施策の為の資金をクラウドファンディングで集める

社会性がある事業として、プロジェクトの理念に賛同してくれる人にクラウドファンディング経由で出資してもらっている。

熱海の「シェア広場」の企画に関する考察

まず、コンセプトがすごく面白いですよね。シェアエコをフル活用して地域に多世代&多目的のコミュニティを作って、地方の色んな課題点が一気に解消される取り組みです。

シェアエコに精通しているシェアエコ協会の方だからこそできる発想だなと思います。「オシャレ」にするというのもシェアエコ成功の要因ですし。

最終的に、シェア広場の活用が当初想定していた内容になるのかは自分も実際に体験レポートして確認していきます。

地域創生に活かせる学びのまとめ

・地方創生×シェアエコの手法として、すでにある個人の余剰資産の有効活用という視点だけでなく、観光的にある空き駐車場をもとに、「観光客」&「地元民の子供と老人」を含んだ多世代コミュニティを作り、地方の観光地がもつ課題を一気に解決しようとする試みになっている
・グランピングカーのデザインに審査があり、オシャレなスポットとしてのブランディングを確立することで、人が集まりやすい土壌を心掛けている(Airbnbが「オシャレな部屋に泊まれる」ことで人気になった手法に近い)
・軒先、Airbnb、スペースマーケットなどの巨大なシェアエコプラットフォームを元に集客するので、地元だけで完結する企画と比べて認知度が日本全国に広がりやすい。
・都会民の移住先としてではなく、2拠点生活を支援するというコンセプトで都会民の共感を得やすい設計になっている。

「熱海リノベーションまちづくり」における行政側視点で役立つ学び

・役所が企画の全部をやろうとしては駄目で、民間の人に得意分野を任せていく発想が大事(役所に勤めるタイプの人間は面白いことを考えることが苦手)
・行政は民間のスピード感に対応できないことが多いので、そこの課題認識が必要
・こうした新しい企画を行政側で推進する人間は行政内では「浮いている立場」になる。そういうものだと覚悟することも重要。
・とはいえ、一部の偉い方の理解も得られているから企画が進んでいるのもある。
・一般的な行政では2年ごとに人事異動があり、地方創生に活躍している行政の責任者が現場を離れることがある。日本行政の人事異動にも柔軟な考え方が必要。
・空家オーナーは不動産会社には物件を貸し出さない人もいる。そうした、空家オーナーをあえて「熱海リノベーションまちづくり」の審査員に登用したことで、「このプロジェクトに参加しているような人たちになら物件を貸しても良い」と考えてもらうことができた。

今後、この熱海のシェア広場の企画が「観光地×地方創成」のモデルプランになっていけるのか注目です。