新型コロナによるシェアリングエコノミー市場への影響完全まとめ【4タイプ別】

戦略活用コラム

上記、まずは、シェアエコ業界への影響の全体感を4つの状況に分けて紹介する。

Airbnbをはじめとする、人と人との触れ合いになるシェアエコは「コロナ禍において廃れていくのではないか」という声も多かったこの数カ月、アフターコロナでシェアエコ業界は結局どうなるのかーーー

コロナの実態が今以上に見えなかった2020年3月時点では、これから廃れる部分も生じるのではないかという不安もあった中、6月現在では、アフターコロナでは、ダメージを受けた業種はありつつも、廃れるどころが、その形は変容しつつも社会に浸透する流れは加速するのではと予測している。

シェアエコのカテゴリ別コロナ影響表

① 売上減少の影響が大きいのは、民泊、観光、移動、介護のシェア

旅行、移動人口の減少に伴いダメージを受ける業界。サービスの方向転換で売上を補うことも難しい状況だ。

3月の国内旅行消費額は前年同月比で53.1%減、4月は訪日外国人の数は99.9%減少(※1)、この減少分に比例した売上が減少していると予測される。
(※1) 観光庁作成、令和2年版の「観光白書」より

介護施設で働くスキルシェアもダメージは大きい。介護資格を活用して数時間、1日だけ働いたり、資格がなくても身体介助以外の「レクリエーション」「話し相手」などの業務を担う。

施設内で感染者が出た場合、施設自体が閉鎖になる場合もあり、外部で単発で働いてくれる人を介護施設に気軽に呼びにくい状態だ。施設内で感染者が出た場合、施設が閉鎖になるリスクもあり、ここ数カ月はシェアサービス利用のメリットより警戒心が上回っていた。

介護施設で働くスキルシェア大手「スケッター」代表の鈴木亮平氏はこう語る。

「コロナ禍でも、介護業界の深刻な人手不足の課題は変わっていません。この数カ月間でも外部から派遣の人を呼ばないといけない事もあるのが介護業界の現状。今年の3月は1,000件ほどあった案件が0になりましたが、今後は新生活様式を取り入れつつ、6月末から案件が再開されていく予定です。」

スケッターでは、コロナ禍で家族との面会制限が続く介護業界の新しい課題に対して、入居者の様子を家族に手軽に伝える為の新サービス「つなぐらむ」の為のクラファンをはじめている。

介護関連のシェアは日本の介護人口の不足問題を抜本的に解決する手段として普及への期待が大きい。そこに社会課題があり続ける限り、スケッター代表には簡単には諦めない逞しさがある。

②方向転換でカバーした、場所貸しのシェアと飲食バイトのスキルシェア

「集団イベント」「飲食での単発バイト」「対面型スキルシェア」関連のサービスも同様にダメージを受けるのではないかと予測されたが、ふたを開けてみると現状、サービスの柔軟な変更でダメージを回避している。

大手3社の事例を紹介したい。

日本最大級のスペースシェア「スペースマーケット」は、集団イベントではなく、テレワークスペースやオフィスの代替スペースというマーケティングの方向転換もあり、2020年度第1四半期は前年同期を超える流通総額隣、利益も過去最大に増加。(※2020年5月発表の決算説明資料より)

飲食店の案件が半分以上を占めていた日本最大級の単発バイトのシェアサービス「タイミー」も、飲食店の案件から切り替え。在宅ワークや配達、スーパーなど、コロナ禍でより一層人材の需要が増えた分野へシフトし、コロナ前の2020年2月の会員数100万人程度から6月時点で会員数135万人へ増加、登録店舗も8,000店舗から、19,000店舗まで伸ばした。

会員数44万人の日本最大級の学びのスキルシェア「ストアカ」は、「対面限定」サービスから「オンライン」を可能へとルール変更。6月現在ではオフライン、オンラインの両方の良さを使い分けて利用できるサービスになっている。

上記3社のようにコロナの影響が元々は大きいはずだった業態でも、「オンライン化」「マッチングカテゴリの変更」「供給サービスの活用法の変更」など、臨機応変な対応でカバーしたところは、実績を伸ばしている。

今後は元々の需要が回復していく可能性も十分ある。結果的に今回新しい市場創出ができた分、長期的には売上を伸ばすのではないだろうか。

③ 接触リスクよりメリットが上回る、家事シェア、モノシェア、シェアハウス

ある程度コロナの性質が見えてきた現状、「3密」を避けることに多くの人が気を使う中、モノを通じた接触による感染リスクへの警戒感はだいぶ減ってきている。

日本最大級のモノのシェア「メルカリ」も、コロナ前より32%も株価は上昇(※3 今年2月19日-6月19日で比較)しており、モノを個人間でシェアする接触リスクより、コロナ不況で節約、副収入になることや非対面であることを、市場はプラス材料として評価しているのではないだろうか。

シェアハウス型マンションも大手2社(計60棟以上)のリスクは現状では高くはなく、一人暮らしより安くなる家賃や人とのつながりを魅力に感じた人が5-6月も内覧をはじめている。

入居者が合計4,000人程度いる中で、感染者は入居者への公開情報によると1名のみ。他の住人に感染したとの報告はないという結果だ。( ※感染者物件の入居者からの情報 5月末時点)これは東京での感染率0.04%(※日経ビジュアルデータの6月より)と比べて、感染率0.025%で下回っている。

「法人管理ゆえの共同空間の利用ルールが厳しい」「法人側が日々清掃し、消毒液設置している」など、必要な措置が確実に実施される法人管理型のメリットも効いた可能性がある。住人の対策意識が低い個人のシェアハウスのリスクはこの限りではない。

④ 成長が加速する、非対面型スキルシェアと地方移住や配達のシェア

元々、オンラインで取引するサービスは、コロナ禍において新しい収入源をオンラインに求めた人が殺到した。

会員数150万人の日本最大級の非対面型スキルシェア「ココナラ」では、4~5月は1日当たりのサービス出品数が、19年12月と比較して2倍に増加。また、登録数の増加人数の伸長率は過去最大(CM期を除く)を記録したという。
(※3 今年1月末までの会員登録数と20年5末時点の会員登録数の増加した人数の伸長率が過去最大に増加)

元々、マッチングサービスは、立地の関係ないオンラインとの親和性が高く、今後のシェアエコの潜在的な市場規模の増加は非対面スキルシェアの伸びへの期待が大きい。

また、月額4万円で多拠点住み放題サービスを提供するADDressは、テレワークをキッカケに地方移住したい人達の受け皿になっている。都市と地方の関係人口を作り、空き家問題もまとめて解決する注目のサービスだ。アフターコロナの暮らし方として連日のようにTVメディアで露出が続いている。

従来、地方移住のために、

  1. 地方で空き家を見つける。
  2. リノベーションする。
  3. 地域住人とつながる。

という3つのハードルがあった。

それらをADDressを利用することでカバーできるため、地方移住の初心者でも、気軽に移住ができる環境になっている。先月からはホテル、旅館、ゲストハウスとも提携をはじめると発表。コロナ禍において需要側と供給側の両方のニーズが増えたことが成長加速につながっている。

その他、新型コロナによるサービス変化一覧

・トラック配送マッチングのPick Go(ピックゴー)が、新サービスで自宅、または指定の場所まで商品をお届けできるサービスを開始。

・世界最大の民泊サービスAirbnbや旅案内のTABICAがオンライン型の体験ツアーサービスを開始。

・ベビーシッターサービス「スマートシッター」がオンライン保育サービスを開始。0歳のベビーマッサージ+新生児・乳幼児オンライン相談、0-2歳の育児相談、3歳以上の運動・ダンス・手遊びなど。

アフターコロナでシェアエコは「生活必需品」になっていく

直近数カ月はシェアエコは業種別にダメージはあったものの、コロナ不況が今後数年続くことで、「知る人ぞ知るサービス」から「生活必需品」に社会の扱い方は変わってくるのではないだろうか。

なぜなら、コロナ不況で、今後、法人経済や公共サービスの弱体化(賃金減少、サービス縮小、人材不足など)によって発生する社会課題に対して、個人経済としてのシェアエコ(副収入・格安外注、即時的な人材確保など)がそのニーズの受け皿になるからだ。

元々は「法人経済がすでに満たしていた需要」の受け皿になる以上、シェアエコは「あったら便利」ではなく、「生活必需品」という捉え方になるだろう。

実際に、UberETAS配達員がコロナ禍で仕事を失った人たちへ緊急のセーフティネット、受け皿の機能を果たしていることについては、すでに社会的な認知も広がりつつある。

他にも、「残業代がでなくなった分を稼がないといけない」「もっと低い家賃にしないといけない」「外注費を削らないといけない」などの課題解決は、シェアサービスが全てカバーできる領域。

今後、コロナをキッカケとした不況が続いても、シェアエコという手段を知っていれば、意外に低コストで暮らせたり、新しい収入源を作りやすい環境が整ってきている。

逆に言えば、そういった手段を今後は知らないと、貧困に陥るリスクが高まるだろう。